悪女は恋人たちを手放した。恋人たちはそれを許さなかった。
「で、大事な話ってなんだよ?今までの謝罪とかじゃねぇよな?」
「…っ」
ソファへ座って私より先にレオが口を開いた。何故か怒っている様子のレオの言葉に私は驚きで目を見開く。
何故私が言おうとしたことがわかったのか。
何故レオは怒っているのか。
「…そ、うよ。今までのことを私は謝罪したいの。本当にごめんなさい。私がしてきたことは最低なことだった。だから…」
驚きながらも伝えたいことは一緒だ。私は謝罪し、ソファから立ち上がるとレオのピアスを外そうとレオの耳元へ手を伸ばす。
これさえ外せばレオは自由になれるから。
「っ!やめろ!」
だがそれはレオが私の手を叩き落としたことによって叶わなかった。
「またなのか…」
レオのその行動に驚いてレオを見つめるとレオは怒りに静かに震えながら私を射抜いていた。
瞳から光りが消えている。
リアムとルークと同じ、あの光を許さない暗い瞳。
まさか、レオまでも…。
「どうしたの、レオ。アナタからこれを外せばアナタは自由よ。私に縛られることはない。どこへでも行けるし、アナタの好きな魔術の幅ももっと広がる。何より私を愛さなくていいのよ?恨んでいるでしょう、私のこと」
レオだけはそうではないと期待して何とかレオに私は微笑んで見せる。