ウシ年の年賀状
side 美遥
*
「えーーーーっ!
そんなぁ…」
「そんなって…だって、もう先月から申し込んでるんだもの。
それに、あんた…今年は帰って来るなんて言わなかったじゃない。」
「それはそうだけど……」
そう…ここ数年は実家に帰ることはなかった。
二年前までは彼がいたから。
昨年は、帰るかどうしようかと迷いつつ、帰らなかった。
帰ったら彼と別れたことがバレるとかなんとか、つまらないことを考えて…
でも、ひとりぼっちのお正月は、とにかく死ぬほど寂しくて…
もう二度とあんな寂しいお正月は迎えたくないから、今年はちょっとした口実を考え、実家に戻ることにした。
それは、お節料理を教えてほしいというもの。
料理嫌いの私が料理を教えてほしいなんて言ったら、きっとお母さんは喜ぶだろうし、もしかしたら、彼ともうまくいってるんだと思ってくれるかもしれない。
そんなことを考えて、私はお母さんには何も言わず、実家に戻った。
ところが!
お母さんは、30日から近所の友達と旅行に行くと言う。
なんでも、カニを食べて温泉に浸かって来るのだとか。
なんてことだ…一人のお正月がいやで、実家に戻って来たっていうのに……
*
「じゃあね!宿に着いたら電話するから。
あ……良いお年を…」
「はいはい。行ってらっしゃい。」
素っ気ない態度でそう言ってお母さんを送り出した。
でも、本当の私はそんなに物わかりは良くない。
なんで、こんな時に旅行に行くのよ…!
本心はそんなところ…
でも、わかってもいる。
こんなことになったのは、何もお母さんが悪いんじゃない。
連絡もせず勝手に帰って来た私が悪いんだ。
結局、理性が勝った。
寂しいとはいえ、私のアパートみたいに散らかってないし、それなりに広いから、気分は多少なりとも爽快だ。
それに、近所のお総菜屋さんにお節も頼んでくれたし、なんだったら地元の友達に連絡して会っても良い。
……とはいえ、私は同窓会にもずっと出てないし、昔の友達はほとんどが早くに結婚してしまって、それからは疎遠になってるから、多分そんなことは出来ないけど……
大晦日は、お節を受け取りに行ってから、家に引きこもった。
面白くもなんともないテレビを見て、こたつでうたた寝してる間に、気が付けば新しい年になっていた。
感動も何もないままに新年を迎えてしまったのだ。
「えーーーーっ!
そんなぁ…」
「そんなって…だって、もう先月から申し込んでるんだもの。
それに、あんた…今年は帰って来るなんて言わなかったじゃない。」
「それはそうだけど……」
そう…ここ数年は実家に帰ることはなかった。
二年前までは彼がいたから。
昨年は、帰るかどうしようかと迷いつつ、帰らなかった。
帰ったら彼と別れたことがバレるとかなんとか、つまらないことを考えて…
でも、ひとりぼっちのお正月は、とにかく死ぬほど寂しくて…
もう二度とあんな寂しいお正月は迎えたくないから、今年はちょっとした口実を考え、実家に戻ることにした。
それは、お節料理を教えてほしいというもの。
料理嫌いの私が料理を教えてほしいなんて言ったら、きっとお母さんは喜ぶだろうし、もしかしたら、彼ともうまくいってるんだと思ってくれるかもしれない。
そんなことを考えて、私はお母さんには何も言わず、実家に戻った。
ところが!
お母さんは、30日から近所の友達と旅行に行くと言う。
なんでも、カニを食べて温泉に浸かって来るのだとか。
なんてことだ…一人のお正月がいやで、実家に戻って来たっていうのに……
*
「じゃあね!宿に着いたら電話するから。
あ……良いお年を…」
「はいはい。行ってらっしゃい。」
素っ気ない態度でそう言ってお母さんを送り出した。
でも、本当の私はそんなに物わかりは良くない。
なんで、こんな時に旅行に行くのよ…!
本心はそんなところ…
でも、わかってもいる。
こんなことになったのは、何もお母さんが悪いんじゃない。
連絡もせず勝手に帰って来た私が悪いんだ。
結局、理性が勝った。
寂しいとはいえ、私のアパートみたいに散らかってないし、それなりに広いから、気分は多少なりとも爽快だ。
それに、近所のお総菜屋さんにお節も頼んでくれたし、なんだったら地元の友達に連絡して会っても良い。
……とはいえ、私は同窓会にもずっと出てないし、昔の友達はほとんどが早くに結婚してしまって、それからは疎遠になってるから、多分そんなことは出来ないけど……
大晦日は、お節を受け取りに行ってから、家に引きこもった。
面白くもなんともないテレビを見て、こたつでうたた寝してる間に、気が付けば新しい年になっていた。
感動も何もないままに新年を迎えてしまったのだ。
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