ウシ年の年賀状
どこへ行こう?
人気のない所は危険だから、なるべく人の多い所へ……



でも、このあたりに人が賑わうような場所は……
そうだ!
初詣!神社だ!



私は、近くの神社を目指した。
近所の人がたまに参拝する小さな神社だ。
そこまではゆっくり歩いて30分程。
冷たい風にさらされながら歩いて行くうちに、だんだんと気持ちが落ち着き、明確な思考が戻って来た。



考えてみれば、私はぎりぎりまでこっちに帰ることを迷ってて…
帰って来たのは29日だ。
元旦に配達されてるところを見たら、きっともうその頃には年賀状は出されていたはず。



(でも……)



年賀状には消印がなかったから、もしかしたら家に直接持って来たってこともありうる。
ストーカーなら、私の実家を探すことくらい簡単なことだろう。
私が実家に戻って来たのを知って、こっちまで持って来たのか?



(……こわ。)



だけど、最近、なにかおかしなことなんてあっただろうか?
……ううん、思い当たることは何もない。

でもでも、私が気付いてないだけなのかもしれないし、今まではストーカーもおとなしくしてたのかもしれない……



(……あ、大変!)



考え事をしてるちに、いつの間にか私は神社に着いていた。
ものすごい人ってわけじゃないけど、いつもはひっそりとした神社がそれなりの人で埋まってた。



(まずは、お参りしなきゃ…!)



手と口を清め、初詣の列に並んだ私は、神様にお願いした。
どうか、ストーカーから護って下さいと。



神様にお願いしたことで、また少し気持ちが落ち着いた。



(ここまで来たからにはおみくじも引かなきゃね。
あ、それからお守りも買おう。)



そんなのんきなことを考えてる時だった。



「あ…相川さん!」



背中から、私を呼ぶ声が聞こえた。



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