ウシ年の年賀状
side 樹生
今まで、おみくじなんて信じてなかったけど、今は信じる気持ちになってる。
さっきひいたおみくじは『大吉』
いつもは中吉とか小吉ばかりだったから、『大吉』の文字を見た時にはびっくりしたし、嬉しくもあったけど、でも、まさか早速こんな良いことがあるなんて、考えてもみなかった。

だって、おみくじの内容を読んで顔を上げたら、目の前に相川さんがいて…
まぁ、僕のことはあんまり覚えてなさそうだったけど、でも、お茶に誘ってくれて…
今でもまだよく信じられない。



「このあたりって、何もないよねぇ…
どこに行こうか?」

「それじゃあ…ランドに行く?」

「……ランド?」

「うん、年末オープンしたショッピングセンター。
確かお正月も開いてるはずだよ。」

僕もランドのことは気になりつつ、年末は忙しくてまだ行ったことがなかった。
新年早々、そこへ行けて、しかも、それが相川とさんと一緒だなんて…



(やっぱり大吉だ!)



本来ならバスで行くところを、僕達は歩いて行った。
昔の話や、共通の友達の話、そして、この町のこと…
相川さんはよくしゃべってくれるから、話が途切れることもなく、遠いはずの道程もあっという間だった。



「わぁ、思ってたのよりちゃんとしてる!」

「本当だね。
都会のショッピングセンターみたいだよね。」

僕がそう言うと、相川さんはくすっと笑った。



「おなかすいたね。
お茶じゃなくて、何か食べない?」

「うん、そうだね。僕もぺこぺこ。」



僕達は、案内板を見て、相川さんが行ってみたいといったお好み焼きの店に入った。


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