蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集
初めての握手会(千柳&雪那)

千柳side

☆千柳side☆


 ドキドキ ドキドキ。



 ゾルックのライブ後。

 ファンと握手会中の俺。




 ドキドキ ドキドキ。


 わ~。

 俺と雪那(せつな)の距離が、縮まってきた。




 1列にできた長いファンの列も、
 どんどん短くなり……

 一番後ろに並ぶ雪那の顔が、
 はっきり見えてしまう程。



 雪那と握手なんて初めてだけど。

 俺、大丈夫?


 アイドルの自分を保てる?
 暴走しない?



 雪那の手の温もりを感じた瞬間。

 ファンの前でオオカミ男になって
 雪那を抱きしめちゃったら、どうしよう。



 そんなことしたら

 俺はアイドルも理事長も
 雪那の彼氏も、
 辞めなければいけなくなる。



 心が結ばれた初日に
 雪那と破局になんてなったら、
 耐えられなくて。

 俺、
 俗世を離れて、出家しちゃうよ。



 と言っても……

 
 『雪那』でほぼ埋め尽くされている
 俺の脳みそは、煩悩だらけで。


 そんな俺を
 受け入れてくれるお寺なんて、
 この世に存在しないと思うけれど……


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