蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集
この先の不安を抱えたまま
俺は学校終わりに、
ダンスレッスンに行った。
スタジオに入り
ジャージに着替えようと
制服のボタンに手をかけた時。
両手にパンパンの買い物袋を下げ
長い髪を振り乱し、駆け込んできたのは
マネージャー。
「マネージャー、お疲れさ……」
「綺月!
今日のレッスン、休んでいいから!」
「は?」
驚かずにはいられない。
俺の口は、『は』の形で固まったまま。
だって、俺たちのマネージャーは
いわば『女鬼』
ゾルックが全国デビューしない限り、
自分の結婚が許されないらしく
レッスンを休みたいなんて言ったら最後、
派手に雷が落ちる。
それなのに、マネージャーの方から
『休んで良い』って言うなんて。