蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集



 思い切って、
 ずっと心に忍ばせていたモヤモヤを
 綺月君にぶつけてみたけれど。


 返事がない。


 怖いくらいに無言の時間が、
 ゆっくりと流れていく。




 綺月君の裾を掴んだまま、
 怖くて目をつぶっていた時。


 ポンと私の頭に、
 大好きな手のひらが乗っかった。




「俺に嫉妬なんて、かわいい奴」


 へ? 褒められた?


「今度事務所から、
 俺らのポスターをもらってきてやるよ」


「でも、千柳さんのお屋敷だし。
 壁に貼るのは……」


「大丈夫。俺が思いついたメロディを
 壁に書いても、何にも言わない奴だから」


「綺月君は、嫌じゃないの?」


「は?」


「私のお部屋に……
 綺月君のポスターがあるのって……」


「嬉しいに決まってるじゃん!」



 ほえ?


「俺がいない時も、
 俺のこと思ってくれるってことだろ?」

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