蜜甘同居こじらせ中 その後 短編集



「雪那は、サプライズで俺に会えて
 嬉しくないの?」


「…っう……」


「もしかして、緊張してるの?」


「……はㇶ」


 
 まだ、テントの中なのに
 すでに声が出なくなってしまった私。


 
 子供たちの笑い声が
 ドッカンドッカンと沸き起こっていて。

 首筋に冷汗が垂れるほど、
 怖くなってきた。




「その緊張、何とかしなくちゃね。
 雪那、この椅子に座って」



 素直に座った私と向かい合うように、
 千柳様も椅子に座り。

 穏やかな瞳で
 私を見つめ続けてくれている。



「ステージに立つのって、緊張するよね」


「せっ…千柳様でもですか?」


「毎週ステージでライブをしているけど、
 俺なんて、毎回緊張しているからね」


「そんなはずは……」



 だって、
 スポットライトの中に飛び出す千柳様は、
 いつも極上の笑顔。


 
 優雅に。色っぽく。
 踊って、歌って、しゃべって。

 緊張とは無縁の人かと思ってた。

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