Livre magie〜今世の幼なじみ〜
僕が目を開けると、そこに広がっていたのはどこかの屋上だった。飛び降り防止なのか何メートルもの高さのフェンスがあり、背の高いビルがいくつも見える。
「あれ?リオン?エリカ?」
しばらくその景色をぼんやりと見ていた僕は、辺りが静かなことに気付く。周りを見れば、一緒に本の中に入ったはずのリオンとエリカの姿がない。
「もしかして、僕とは別の場所にいるのかな」
この本の世界には恐ろしい物の怪がいる。単独行動は危険だ。探しに行かないと!
僕がほうきを出そうとした刹那、「探しても見つからないよ。だって、この世界には僕と君しかいない」と空から声が降ってくる。
僕が顔を上げると、フェンスに水色のローブを着た青い目の小柄な男性が立っていた。この人が恐らくこの本に閉じ込められている人物だろう。それにしても、どこか懐かしい感じがする……。
「僕はノワール。君は?」
僕が不思議な感情に戸惑いつつ、自己紹介をすると相手はニコリと笑って驚くことを言った。