Livre magie〜今世の幼なじみ〜
「僕の名前はメルキュール。異世界から転生したんだ。前世の名前は藤村零。……久しぶりだね、太宰修也」

「嘘……」

夢にまで見た幼なじみに、僕は信じることができなかった。でも、心が高ぶって震えている。思いがどんどんあふれて、止まない。

「僕は本物の零だよ。こっちではメルキュールって名前だけど。修也が死んですぐに事故に遭って、気付いたらこっちの世界にいた。こっちの世界に来てノワールの本を読んだ時、すぐにわかったんだ。この世界で修也が生きてるって。あっ、今はノワールか」

零ーーーいや、メルキュールが僕の近くに降りてくる。僕はメルキュールに駆け寄り、抱き付いた。この温もり、感触、確かに零だ。こんなところで再会するなんて!

「何か、不思議な気持ち。この気持ちをきっと感動って言うんだろうね」

僕が泣きそうになりながら言うと、メルキュールも涙を目に浮かべて頷いた。そして、僕の暮らしている森から遠く離れた隣国で暮らしていたこと、人の数を正確に把握する能力があることを教えてくれた。

「人の数だけじゃなくて、物の怪の数も数えられるってこの本に閉じ込められてわかったよ。この能力を使って今まで逃げてた」

「じゃあ、物の怪がどれくらいいるかわかる?」
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