Livre magie〜今世の幼なじみ〜
そういえば、この小説の主人公たちが飛び降りた日も青空という風に書いたなぁ……。きっと、こんな綺麗な青空だったに違いない。

「さて、そろそろ帰ろうか」

青空を堪能した後、僕はそう言って小説の最後の文章を口にする。

「彼らが最後に見たのは、透き通るほど綺麗な青空だった」

目の前が白い光に包まれた。



「ノワール!!」

「先生!!」

小説の世界から出た刹那、僕はリオンとエリカに抱き締められる。一瞬、何が起こったのかわからなかった。というか、エリカに抱き着かれるとドキッと違う意味でしてしまう。

「二人とも落ち着いて。一旦離れようよ」

僕がそう言っても、二人ともなかなか離れようとしない。エリカはずっと、「心配していたんです」と震える声で言っている。

「俺とエリカは何故か、小説の中に入ることができなかったんだ」

リオンがそう言った後、「その人が今回閉じ込められていた人?」と言い、僕の隣に立っているメルキュールを見つめた。メルキュールはニコニコと笑っている。
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