Livre magie〜今世の幼なじみ〜
この中にどんな人が閉じ込められているんだろう、そんなことを考えながら本を見つめていると、「修也」とどこか懐かしい声がした。

「えっ?」

僕が驚くと、「どうした?」とリオンが僕を見つめる。僕は「何でもない」と言ってクロワッサンを口に放り込み、食べ終わったのでお皿をキッチンへと運んだ。

僕が異世界から転生したなんて、誰も知らない。なら、僕の前世の名前を知っているのは同じ世界で生きていた人ということになる。一体、誰なんだろう?

お皿を洗いながら、僕は緊張していた。もし、僕を誹謗中傷していた人たちだったら?僕を愛してくれなかった両親だったら?でもこの緊張を吐き出すことなんてできない。

そして、リオンとエリカも食べ終えて皿洗いを済ませ、僕たちは本の中へ入るために本をテーブルの上に置く。僕は普段より緊張しながら口を開いた。

「生きることは許されても、死ぬことは許されない」

書き出しを唱えるとすぐに目の前が広い光に包まれる。僕は緊張しながら目を閉じた。
< 9 / 18 >

この作品をシェア

pagetop