天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
父の発言に陽貴さんが答えているが、それは陽貴さんでしょ?
「陽貴さんが心配だよ。働きすぎ」
ドクター不足で仕方がないのは理解している。
患者さんのためだということも。
しかし自分の夫となるとハラハラする。
「陽貴、ちゃんと休息はとるんだぞ。お前はもうひとりじゃない。季帆ちゃんを幸せにしないと」
「わかってます」
お義父さんの言葉も、そして陽貴さんのキッパリとした返答もありがたかった。
前日入りしていた両親はその日のうちに東京に戻り、最終日は恩納村の青の洞窟でスキューバーダイビングを経験した。
私は初めてだったし、溺れた人を目の前で見たばかりなので緊張したが、陽貴さんが手をつないでいてくれたので美しい海を満喫できた。
私はもちろん最高に楽しかったが、頻繁にオペがあり入院患者の急変対応もしなければならず、気を張り詰めた生活をしている陽貴さんがリラックスしている姿が、妻としてはうれしかった。