天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
俺の女に手を出すな
 少しだけ黒くなって東京に戻ったが、私は誰にも気がつかれなかった。

 しかし、化粧をしない陽貴さんは私よりも日焼けしていて、ナースたちに尋問されている。


「倉田先生、どこに行ってたんですか? グアム?」
「んー、日サロ?」
「まさかー」


 ナースたちは笑い転げていた。


「で、誰と行ったんです? 他の病棟のナースが聞いてこいってうるさくて」


 なるほど。どこに行ったかより、誰と行ったかが重要なんだ。


「たまにはと思って親孝行しただけだよ。人生最大の親孝行ができたけど」


 そんな声が耳に届いて心臓の音がうるさくなる。
 彼は自分の両親だけでなく、私の両親にも親孝行してくれた。

『陽貴くんは忙しいから挙式ができなくても仕方ないよ』と理解を示していた両親だったが、本当は私の晴れ姿を楽しみにしていたに違いない。

 私も両親にドレス姿を見せられて感無量だった。

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