天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 しかし、やはり気楽に取り組めばいいとは思えない。

 看護師に戻る気はないのだから、今後も草野さんと組む機会はないだろう。
 もうあまり深く考えないようにしよう。

 私は気持ちを切り替えて夕食の買い出しのためにスーパーに向かった。



 それから院内で草野さんに会うこともなく、忙しく働いていた。


「オペ室にお迎えに行ってきます」


 手術終了の連絡を受けた看護師がナースステーションを出ていく。

 陽貴さんが執刀した水頭症の赤ちゃんのVPシャント手術が終わったようだ。

 この手術は、麻酔も含めて一時間から二時間程度となる症例が多いがそれより少し長くかかったのは、体が小さな赤ちゃんだからだろう。

 今日も無事にオペが終わったと知り、安堵で胸をなで下ろした。


 その後、退院手続きなどをしていると主任が駆け込んできた。


「倉田先生、どこにいるか知らない?」
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