天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「片山さんの回復が想像以上に早い。リハビリについてそろそろ考えないとと思ってる」
「うん」
「幸い、言語障害はなさそうだけど、軽い記憶障害があるかも。国枝や天野のことはあまり認識できていないようだし」


 ふたりは彼の担当なのに? 
 私よりずっと長い時間、彼に関わっているはずだ。


「どうしてだろう」

「ふたりはよくやってくれている。ただ、処置やケアはしているが、心の奥までは踏み込んでいない。忙しすぎてそこまでできないからね。そういう意味では、季帆との関わりのほうが濃厚だ」

「くだらない会話ばかりなのに」


 フランクに話してくれるようになったのも最近だし。
 それでも、彼の心が動いているならよかったのかな。


「ホッとできる会話を欲していたのかもな。俺やナースはどうしても医療に関する話が多くなる。片山さんの場合、これまでは苦しいことばかりだったからね」

「そっか……」


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