天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「またお願いできますか?」
「今日は病室までどうぞ。片山さん、お母さんに会いたいとおっしゃってます」
「えっ……」


 目を大きく見開いた彼女は震えだした。


「片山さん、ずっとお母さんに感謝していらっしゃったんですよ。それを伝えるのがちょっと恥ずかしかったのかもしれません」
「翼が?」


 私の言葉をきっかけにお母さんがほろりと涙をこぼしたとき、陽貴さんがそっと背中に手を置き話しかける。


「お母さん。男は強がりたいものです。大切な人であればあるほど、弱みを見せたくないんです」

「先生……」

「それとひとつ、お耳に入れておかなければならないことが。香月もちょっと」


 陽貴さんは私たちをナースステーションの隣にある待合室に誘導して、安田さんとの別れを伝えた。


「そう、でしたか。香月さん、そんな迷惑までかけてすみません」

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