天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「これ、メチャクチャおいしいですよね。はまりそう」
「もうひとつやるよ」
「今日はお母さんと一緒に食べてください」


 私は彼の左手に握らせたあと、別のプリンを取り出してお母さんにも渡す。


「あーんしてもらいます?」
「やるか」


 片山さんがようやく口角を上げた。


「それじゃあおふたりで食べてくださいね。私、仕事がたまってまして。叱られるので失礼します」


 私はふたりきりにしたくてわざと病室を出た。
 すると陽貴さんが腕組をして壁にもたれかかっている。

 私も気になって同じように隣に立ち耳をそばだてた。


「悪かったな」
「なにが? 翼はなにも悪くないでしょう?」


 お母さんの声が落ち着いてきた。


「けど、俺が事故ったから。せっかくバレーできてたのに、母さんの夢も奪ってしまった」
「私のことなんて気にしなくていいから」
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