天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
『患者さんに医療ミスを伝えて謝罪する方向に固まりつつあるみたい。訴訟の可能性もあるかもね』

「そう。よかった」


 人間はミスをゼロにはできない。
 しかし、少なくとも隠蔽しようとした事実は重い。


『季帆の無実も証明されるよ、きっと』


 それはどうかわからない。
 私が近藤先生の手に触れていないと訴えたところで、証拠は出せないからだ。

 いくら他の先生がかばってくれても、〝白〟にはならないだろう。


「……うん。ありがと」


 それでも、佳織の気持ちがうれしくてそう返事をした。



 電話から一時間ほどして陽貴さんが帰ってきた。

 玄関に出迎えに行った私がいきなり抱きつくと「どうした?」と驚きの声をあげている。


「あのね……」


 佳織から聞いた話をすると、彼は目を細める。


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