天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「片山さん、見違えるくらい頑張ってるって」


 リハビリ室に迎えに行ってきた天野さんがうれしそうだ。
 彼女も片山さんを応援しているひとりだから。


「よかったー」
「うんうん。私もポジィティブな声がけをしていたら、また話してくれるようになって、『いつもありがと。頑張るから手伝って』って。患者さんからそんなことを言われたのは初めてなの。ナースやっててよかったーと思っちゃった。単純すぎ?」


 彼女のテンションが上がっているのが私もうれしい。
 看護師としてのやりがいを見つけてくれた気がした。



 それから一週間。


「ね、またあの彼女来てたよ。リハビリ室から戻るときに見かけたの」


 片山さんをリハビリに連れていった天野さんが話しかけてきた。


「どこで?」
「リハビリ室の近くのエレベーターホールの横にトイレがあるでしょ? そこ――」
< 284 / 373 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop