天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「ごめんなさい」
「えっ?」


 再び謝られて首を傾げる。


「ごめんなさい。私……翼をあなたに渡したくない」


 顔をキリリと上げた彼女には、もう迷いがないように見えた。


「はい」


 私が笑顔で返事をしたからか、安田さんはキョトンとしている。


「彼女は私の妻なんです」


 私の肩に手を置いた陽貴さんが告げると、彼女は固まっている。


「妻?」
「はい。もちろん片山さんには渡しません。片山さんがあなたを遠ざけた理由、もうお気づきなのでは?」


 陽貴さんが切り出すと、彼女はガタガタと震えだす。


「ひとつ確認させてください。以前お話ししたように、片山さんの左半身にはどうしても麻痺が残ります。認識の問題も工夫して生活を乗り切るという形になると思います。もしかしたらこの先の人生、別の方と歩いていくほうがあなたのためかもしれません」


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