天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 陽貴さんは包み隠さず話す。

 ただ好きだからという感情のみで彼女に覚悟がないならば、片山さんがもう一度傷つく羽目になるからだ。


「私……。嫌です。彼じゃないと嫌なんです」


 彼女の口からようやく本音が聞けて、私と陽貴さんは顔を見合わせて微笑み合った。


「そうですか。よかった……。彼はあなたを守るために必死にリハビリを積むでしょう。うまくいかないことがあったとしても、一緒に乗り切ってほしい。私たちにできるお手伝いはしますから」


 陽貴さんがそこまで話し終えると、リハビリ室のドアが開いて患者さんがひとり出てきた。

 そのとき、ドアが大きく開いたせいで、片山さんが彼女に気づいて目を見開いている。


「ちょっと待っててください」


 陽貴さんはリハビリ室の中に入っていき、彼を車イスに乗せて出てきた。


「里香……」

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