天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「それじゃあ、辞めた理由も知ってるわけだ」


 陽貴さんが切り出すと、木藤先生はうなずく。


「で、お前がした報復も知ってる。やるなぁとうちの病院でも持ち切りだった」
「狭い世界だこと」


 陽貴さんは苦笑してコーヒーをのどに送る。

 やっぱり、私のことがあったからこそ大学に抗議したのだ。


「それで、突然どうした?」


 陽貴さんはカップをソーサーに戻すと、木藤先生に問いかける。


「うん。実は相談があって。この患者なんだけど……」


 木藤先生は大きなバッグから検査データやCTの写真などを出して陽貴さんに渡している。


「内側型蝶形骨縁髄膜腫か。オペが妥当だろうな」

「そうだよな」

「脳腫瘍って、経過観察でいいときも多いのよね」


 私が即座にオペを選択した陽貴さんに尋ねると、彼はうなずいている。


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