天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい

「その通り。ただ、内側型は視神経を圧迫するんだ。視力障害が出てから切除しても視力が回復しない症例が多い。だからオペが適応となる。ただし、この場所は視神経や内頚動脈があって簡単じゃない」


　彼はＣＴの写真を凝視しながら説明してくれた。


「お前、オペできる？」
「難しいけどやれと言うなら引き受ける」


　陽貴さんははっきりと明言した。


「すでに視力障害が出始めている。視力を失うわけにはいかない仕事をしてるんだ」

「木藤の患者？　基礎疾患はなんだ？　セカンドオピニオンによこせばいいの……」


　陽貴さんは途中で言葉を止めて、神妙な面持ちで木藤先生を見つめる。


「お前、まさか」
「患者の名前は木藤明弘(あきひろ)。職業は外科医だ」


　耳を疑うような発言に、私も陽貴さんもあっけにとられて言葉が出てこない。

　木藤先生自身の検査データなの？