天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
「私ひとりで患者さんの治療をすべてできるわけないのに、思い上がっていたかもしれない。富岡さんの件もありがとう。突き飛ばされたなんて初めてで動揺してしまって。いつもはナースが先頭に立ってくれて、私は呼ばれて薬を投与するだけだから」


 患者さんと常に接しているナースのほうがこうしたときの扱いに慣れているというのもあるけれど、陽貴さんはせん妄時の対応も進んでする。

 でも、たしかに長崎先生は違う。

 まさかプライドが高そうな彼女が自分の落ち度を素直に認めるとは驚いたけれど、これでもうナースを卑下したりはしないだろう。


「先生たちが処置に集中できるように、私たちがサポートさせていただきます。困ったときは遠慮せずおっしゃってください」

「ありがとう」


 彼女は少しはにかんだ。
 笑っているほうがずっとチャーミングだ。


「サマリー書かないと」
「頑張ってください」


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