天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 木藤先生の視機能は問題ないらしく、オペの成功を物語っている。

 あとは動けるようになったら再び外科医としてメスを握れるようにリハビリを積むだけだ。


 最前線で働いていた医師のため体力があるのか、すでに顔色が良好だ。
 まだ寝たきりではあるが、私を見つけて微笑んだ。


「木藤先生、ご気分はどうですか?」

「倉田が偉そうにいろいろ指示してくるから腹が立ってたけど、今はすごくいいよ。香月さんの白衣姿が拝めたからね」


 私がこうして再び白衣を着られるようになったのは、木藤先生のおかげでもある。

 長崎先生に責められたとき背中を押してもらえなければ、私はずっとクラークのままだったかもしれない。


「あははっ。担当させていただきます、香月と天野です。よろしくお願いします」


 改めてあいさつをすると、彼は「よろしく」と口角を上げた。
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