天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい
 自分と植物を混同しているようだが、その顔は幸せで満たされている。

 品川さんのベッドは四人部屋の廊下側。
 窓側のベッドの空きが別の部屋にあったはずだ。
 窓から空を見上げられるそちらに移動してもらえないか、師長に相談してみよう。


「品川さん」


 私たちが話していると声をかけてきたのは陽貴さんだった。


「先生、病棟は?」
「大丈夫。関(せき)先生が戻ってこられたから」


 どうやら別の先生とバトンタッチしてから来てくれたらしい。
 彼は品川さんの前で腰を折り、視線を合わせて話しかける。


「ひなたぼっこ、気持ちいいですか?」


 聞こえていたのか。


「気持ちいいわねー。ほら、こうすると空に手が届きそうでしょう?」


 彼女はゆっくりと手を空に向かって挙げた。
 すると立ち上がった陽貴さんも同じようにしている。


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