天才脳外科医は新妻に激しい独占欲を放ちたい

　品川さんを天野さんに託した陽貴さんは、ふたりを見送ったあとベンチに腰かけた。
　そして、立ち上がっていた私の手を引き隣に座らせる。


「どうしてここだとわかった？」

「品川さん、庭でお花を育てていて、師長と植物は日光がないと育たないとお話ししていたんです。それで太陽を感じられる場所って屋上かなと」

「そっか」


　彼は優しい笑みを浮かべてうなずいている。


「俺、ナースの季帆と一緒に仕事をしたことはないけど、お前が一流のナースだったのはわかるよ」
「そんな……」


　まさか彼から看護師時代のことを褒められるとは思っていなかったので驚いた。


「手技は練習すればうまくなる。でも、患者の心に寄り添う力は簡単には身につかない。特に忙しいと心のケアはあと回しにしがちだ。自然とそれができる季帆は、看護師の鏡みたいな存在だ」