恋友~幼馴染みの君はいつも私に付いてくる~
退院した事を内緒にしていた私は、驚かせる為に朝早く賢心を起こしに部屋に突入した。

「おはよう、賢心!」

「わぁ!…雪乃!!ぃ、いつ退院したの!?
もう大丈夫なのか!?」

「心配かけてごめんね、もう平気だよ。」

慌てて布団から出てきた賢心は、私の体を引き寄せ強く抱きしめるけれど、小刻みに震えながら
泣いているのが分かった。

「……よしよし…泣かないの。」

「…だって……」

「大丈夫。私が…」

「俺が守る!!」


そう強く言った後、2人の体が離れて真っ直ぐ
私を見る賢心の目からは涙が流れていた。

「んふ。泣き虫のくせに…」

指で優しく涙を拭いてあげると、その手を掴んだ賢心は、優しくキスをしてくれた。

賢心の気持ちは嬉しいけど、
賢心に心配かけたくない。
賢心に悲しい思いをしてほしくない。
賢心としたあの約束は、もう忘れる……

そう決めて病気の事は内緒にしたまま、
少しずつ離れようと頑張っていた。


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