恋友~幼馴染みの君はいつも私に付いてくる~
帰る途中に余計な事を思い付いた私はスーパーに寄って買い物をしてから家に向かった。

「ふぅ……」

沈んだ気持ちを無理矢理切り替える為、
入院の準備は適当に済ませ戸締まりをしてすぐに
隣の部屋の鍵を開けて中に入る。

その時賢心から催促のメールが届いた。


(家着いたのか?)

(ごめんごめん!着いたよ。少し部屋の中片付けてから病院戻るね)

(そんなのいいから。気を付けて来るんだぞ)

(わかったよ)


メールの返信をしてから急いでキッチンに立つ。

「私だってカレーくらい作れるんだから!」

出来る女にならなきゃ!
なんて思っていた矢先の入院。

その前に少しでも賢心の為に何かしてあげたい。
そんな想いで料理をしていると凄く楽しくて、
色んな事を想像して…

ビックリするだろうか。
喜ぶだろうか。
もしかして怒られるかも…

それでもいい。

今出来る事を今やらないと、
また今度は、もうないかもしれないんだから。


「出来た~!!ん、美味しい!」


そして時計を見ながらキッチンを片付け終えて
入院の荷物を持ち玄関へ向かおうとした瞬間、

「……ぅ!………ぁ…」

胸の痛みで廊下に倒れ込むと、
消えかける意識の中でスマホを取り出し、
必死に指で画面をなぞる。

「もしもし、今どこ?まだ病院着かないのか?」

「…………けん、し…」

床に落ちたスマホから賢心の声が聞こえ安堵した
私の意識は途絶えてしまった。

「雪乃!?おい!聞こえるか!?雪乃!!」



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