【完】セカンドマリッジライフ
むつきめ。 雪乃の過去。 利久SIDE
むつきめ。 雪乃の過去。 利久SIDE
「この間うちの娘がむーちゃんを連れて病院に来たでしょう? その時に言ってたんだけど、雪乃ちゃんって昔モデルだって本当?」
先日具合いが悪いといった柴犬が数日うちの病院に通っていた。
いつもは奥さんが連れて来るのだが、都合が悪くたまたま娘さんが連れて来た日があった。
診察をしている間彼女の話を聞いてる振りをして、聞き流した。
雪乃がモデル……?
そんな事は知らない。 彼女はとても親しみやすく、話好きで色々な事を俺に話してくれたけれど
自分の事は余り話さない。 東京生まれで東京育ち。 明るく笑顔を絶やさない彼女を好きになるのに時間は掛からなかった。 好きになってしまえば過去は関係ない。 だから別に彼女が言いたくない事ならばわざわざ過去を詮索したくはなかった。
その話を聞いたのは、互いの両親に改めて結婚の報告をしにいく数日前だった。
過去を大切だとは思わない。 むしろ未来を共に歩く事の方が重要だ。 しかし気になりだせば止まらない物だ。