【完】セカンドマリッジライフ

調べて行くうちに彼女が一年前芸能界を引退した事を知る。 ゴシップサイトには様々な言葉が行きかっていた。間違っても彼女には見せたくはない。

そこにはお世辞にも綺麗とは言えない言葉が並んでいるからだ。嘘か本当かも分からない彼女の経歴がつらつらと文字だけで並べられているのだ。

そして未だにネットの海で「秋月 雪乃」は色褪せずに残っている。

一通りそれを見てソファーに寄りかかる。 背中にはじんわりと汗をかいていた。

「利久さーん!味見してみて」

「あ、ああ……」

先日雪乃は髪を切ってきた。 肩にかかった髪を切って、北海道に来た時と同じショートヘアーになっていた。

彼女が自分の過去を俺に打ち明けたくないのならばそれを詮索するつもりはなかった。 過去がどうであれ大切なのは現在と未来だと知っていたからだ。

そして俺は彼女と生涯を共にしたい。 特に刺激もないのほほんと時間が流れるこの地で。

けれどそれで本当に良かったのだろうか。 華やかで誰の目も惹きつけてやまない、太陽のように眩しく天真爛漫だからこそ芸能界という世界に居たのだ。 本当に彼女の居場所はここだったのか。 

雪乃の過去を知って、どうしても色眼鏡で見てしまう自分がそこにはいた。

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