【完】セカンドマリッジライフ
まさか二泊如きで犬猫を飛行機に乗せる訳にはいかないので、奴らはペットホテルにお泊りする事に決まった。
武蔵は誰にでも懐っこく心配はなかったが、猫達は心配だ。 奴らの性質上相当ストレスになるのは分かっている。 人と距離は置いているとはいえ、こういういざという時に預かってくれる友達くらい作っとくべきだったのかもしれない。
何はともあれ七月の半ば俺と雪乃はそれぞれの両親への結婚の報告をしに、東京へと旅立った。 …東京に帰るのは10年近くぶりになるかもしれない。
雪乃はいつのもようにお茶らけて笑ってはいたけれど、少しだけ緊張した面持ちだった。 北海道に来た時と同じ大きなサングラスとマスクで顔を覆っている。 そういう姿を見ると改めて彼女がモデルである秋月 雪乃だったと感じてしまうのだ。
約一時間半のフライトを終えて降り立った羽田空港。 本当にここは同じ日本か。 どうしてこうにもああにも東京というのは人で密集しているのだろうか。
自分の生まれた街とはいえ、こういう東京の雰囲気が昔から苦手だった。