【完】セカンドマリッジライフ
何から話せばいいのだろう。 雪乃は頑なに自分がモデルだった過去を言おうとはしない。 だから何も知らない振りをしていた。
話さなくちゃならない事は沢山ある気がした。 けれど、雪乃の様子がおかしい。 まるで過去にモデルだった話も俺とのえるについてもはぐらかすように話をすり替えていく。
「私だったら平気よ? せっかく北海道に来たんだもの。 利久さん、のえるさんと観光に行ってきて?
武蔵ー!イチ、ニ、サンも朝ごはんだよ~!
アハハ~そうかい?お腹空いた~?おいでおいで~」
確かに昨日のえるに強引に観光に行こうと誘われた。
住所を教えるじーさんもじーさんだが、連絡の一つも寄こさずに北海道にやって来るのえるも相当自分勝手だ。
昔から人を振り回すのが得意な人間だった。 だからって……俺は今雪乃と結婚しているんだ。 のえると二人で呑気に観光する筋合いはない。
「…雪乃。 俺…のえると二人でなんて出掛けるつもりはないよ」