【完】セカンドマリッジライフ
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翌日獣医大学に行きイチの手術が行われた。
雪乃も俺もそれなりの覚悟をしていた。 大きな病気が発覚したとしても最後まで寄り添い合う事。それが共に生きる責任だ。
運良く俺は獣医で家は動物病院だ。たとえ何があったとしてもそれなりの環境で面倒を見る事は出来る。
しかし手術を終えた獣医は意外な言葉を言った。
「お腹まで開いてしまって大変申し訳ないのですが……開けた時点で肝臓はとても綺麗なものでした。
4か所から肝臓の組織を切り取って病理検査に回しますが…恐らく大丈夫かと…」
どうやらイチの肝臓は不安を抱えていた病気に該当するものではなかったのだという。
むしろ何でもないのにお腹を切ってしまった事を謝罪された。 いやそれは仕方がない。気持ちは分かる。 俺だって獣医だ。実際に中身を開いて見ないと分からない事が沢山ある。
白血球が少ない事も肝臓の数値が悪かった事もそれは日によって違う事で、そういった性質を生まれ持った猫もいる。
えらく拍子抜けしてしまった。 隣に居た雪乃は目にいっぱい涙を溜めて号泣し始めて「よがった~…」と獣医をドン引きさせていた。