【完】セカンドマリッジライフ

「全く君は…。俺が幸せそのものだなんて言ってくれる人間、この世に君以外にはいないだろう…。」

ストレートで素直だと言われるのは昔から。 でも利久さんと過ごして自分の中にすごく素直じゃない自分が居るのも知った。

私は今まで自分が我慢をしていて周りが笑ってくれるなら多少の嫌な事も目を瞑って来た。 でも利久さんを前にすると素直じゃない自分が出てきて、彼の優しさに甘えて嫉妬したり我儘を言ってしまう自分も居た。

けれどそんな私でさえ彼は受け入れてくれた。  笑ってばかりじゃなくていいと言ってくれた。 だから利久さんと出会って私は随分生きやすくなった。

たまに甘えて物凄く利久さんに我儘を言いたくなる日がある。 でもそれは彼が広い心でそんな私でも受け入れてくれるからだ。

「ご馳走様。 後片付けは俺がしておく。 雪乃は診察の時間が始まるまでゆっくりとしていてくれ。」

食器を手に持ってキッチンに立つ利久さんの後ろ姿さえ愛しくなって、その背中にぎゅっと抱き着く。 広くて暖かい背中。耳を充てるとそこから温もりが伝って全身に広がって行くんだ。

「どうした?」

「ぎゅってしたい気分なの」

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