【完】セカンドマリッジライフ

資料に目を落としていた利久さんが顔を上げて、琥太郎と沢口さんを真っ直ぐに見つめる。
緩んだ頬から優しい微笑みが広がっていく。

「僕も、良い話だと思います。 沢口さんと東さんがわざわざ北海道まで来て下さって雪乃の事をきちんと考えている気持ちも伝わりますし。
その上で僕は賛成です。 僕は、結婚しているからといって雪乃を縛る権利もない。 雪乃のしたい事は好きにさせてあげたいと思っています。」

利久さんの言葉にカーッと頬が熱くなる。
この人はいつだって私を尊重してくれているのだ。

本気で思っている。私のしたい事なら、自由にさせてあげたいって。

戸惑いもあるだろう。 だって彼の前の奥さんはのえるさんで…のえるさんは結婚をしても仕事を辞める事が出来ずに、それがきっかけで二人の仲はこじれていってしまった。

本来であるならば私がまたモデルの仕事をしたいって言えば絶対に嫌なはず。 それなのに、私の気持ちばかり尊重して…。

「雪乃、すっごく良い話だと思う。 俺はやって見てもいいんじゃないかなって思うよ」

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