【完】セカンドマリッジライフ

この人もこの人なりに思う事があるのだろう。 俺も雪乃と結婚するまで、会いに行こうとも思わなかった。

そういった点ではやはり雪乃には感謝だ。 こういう機会がなければ母が寂しがっていた事にも一生気が付かなかっただろう。

皺だらけの顔を見ていると母も歳を取ったと思う。 弱々しく見えるのは気のせいなんかじゃなかった。

「あんた産まれたら東京に来なさいよ? 定一じーさんもひ孫に会いたいんだって。何とか死ぬ前に一目顔だけでもって、でもご老体だから北海道には来れないんだって。
あんな元気で100歳以上絶対生きる癖に…」

まあ、母はやっぱり母だ。
確かに子供が産まれたらじーさんには会いに行くべきだろう。

なんだかんだ雪乃との縁を繋げてくれたのはあのじーさんなのだから。 最初は何てことしてくれたと思ったものだが、こんなに穏やかな毎日が俺の元へと訪れるなんて…。

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