【完】セカンドマリッジライフ
「ねぇ、利久さん見て…!」
ソファーから立ち上がったかと思えば、雪乃はベランダの窓を開けて外に身を乗り出す。
冷たい隙間風が入ってきて、北海道の厳しい冬の始まりを報せた。
「おい、雪乃。余り体を冷やすな。 赤ちゃんが可哀想だ」
ブランケットを持っていき、雪乃の肩に掛けてやると彼女は大きな瞳を空に向け笑う。 空からははらりと白い雪が舞い落ちる。
「ああ、雪か。 そろそろ根雪になるかもしれないな…。」
「不思議。私と利久さんは東京生まれで東京育ちだけど、この子は北海道で生まれて北海道で育っていくのね。
少しだけ羨ましいな…」
雪乃はお腹を撫でて、こちらへ笑顔を向ける。
そういえばそれもそうだ。不思議なもんだな。
俺もそれは少し羨ましい。 生まれた街ではないが、俺だって北海道のこの広大な自然が好きだ。
この子はこの雪さえ当たり前だと思い育っていくのだな。