【完】セカンドマリッジライフ

本当に不思議な子だ。 彼女の素性は知らない。詮索する気もないが…。
都内からこんな僻地までやって来るという事はそれなりの事情があるのだろう。
俺にも結婚しなくてはいけない事情があった。


祖父は「アニマルプロジェクト」という関東を中心にいくつかある動物病院の会長だ。

祖父の息子である俺の父親が現在は社長で、俺は三兄弟の末っ子。 兄達はそれぞれの病院の院長になっており、所帯も既に構えている。

俺だけが勝手に北海道に来て動物病院を経営しているものだから、両親はそれを快くは思っていない。 口を開けば’東京に戻って来い’だ。

しかし東京に戻る気は更々無かった。 東京に戻らないのならば私達を説得させなさい、と言われ小さな頃から可愛がってくれた祖父に相談した所持ち上がったのが今回の結婚話だ。

両親が納得してくれているかは知らない。 直接互いの両親に挨拶さえもしていないのだから。

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