【完】セカンドマリッジライフ

今回の結婚はいつ破綻しても良いと思っていた。そもそも愛し合っている夫婦ではない。

俺はもうバツが何個になろうが、自分の今の生活が守れるならばそれはそれで良い。  結婚に夢を見ていた時期がある。愛する人との共同生活の幸せを感じたことも。

それはまだ俺が東京に居て、一度目の結婚をした時だ。 しかしあの結婚生活を機に俺はもう人を心から信じる事をしないと決めた。 墓場まで持っていく下らない男女のいざこざの話だ。

人に期待しない。その点動物は良い。裏切らないし側に居て欲しい時に側に居てくれる。一心に曇りなき愛情を向けてくれる。

北海道に移住してきてからも動物病院にやって来るお客さん以外、極力人間関係を広めないようにしていた。

それでも俺の平穏で静かだった生活は、彼女の出現により一変してしまったのである。

「この間先生とショッピングに行ってジンギスカン屋さんに行ったんですよぉ~」

「あらら、先生と雪乃ちゃんはすっごく仲が良いわねぇ~。雪乃ちゃんが来てから先生毎日楽しそうだもんね」

「きゃはは~、そうですかあ?でもすっごく楽しかった。 今度は先生とポニー見に行くんですよぉッ」

「いいわねぇ、雪も溶けてきて段々と暖かくなってきたものねぇ」

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