【完】セカンドマリッジライフ

雪乃は病院の仕事中は俺を’先生’と呼ぶ。 普段は’利久’さんだが
俺も病院の中では’雪乃’さんと呼ぶが、家では名前を呼ぶ事はない。
10も年下の女性を何て呼んでいいかも分からず、戸惑っていた。



それにしても楽しそうだ。 会計をしている雪乃は待合室にいる犬猫の飼い主たちと実に楽しそうにお喋りをする。

俺とは違い人間が好きで、コミュニケーション能力も高い。仕事も一度言えばすぐに覚えるし、その明るさは仕事が出来るよりもよっぽど社会に必要な特性でもある。

…わざわざこんなへんぴな動物病院じゃなくっても、若い彼女に出来る事は無限大だろう。だから何を好き好んでここで彼女が働いているかは、謎過ぎる。


でも助かっているのもそれは事実で…。

「先生カルテの整理しておきました。 診察台の消毒も済ませておきましたので。
先程犬のリンちゃんの飼い主さんから電話があって、リンちゃん昨日からずっと吐いてるようなので午後から診察にくるって言ってました」

「ああ、そうか。ありがとう」

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