【完】セカンドマリッジライフ

何故俺は彼女に自分の話をしているのだろう。 自分の過去の話をするなんて、その想いを誰かと共有して欲しいという浅ましい考えだ。

それでも雪乃は真剣に話に聞き入ってくれた。

「だからかな。 それから何となく人とは距離を保って生きて来た。
だから、君に嘘でも一緒に居ると楽しいと言って貰えて、安心したというか…何と言うか…」

そこまで言ったら雪乃は頬をぷっくりと膨らませて、両手でペシンと俺の頬を叩いた。 珍しい。少しだけ怒っているようだ。

いつでも笑っている女は怒るとこんな顔をするのか。

「私嘘なんてついていない。利久さんと一緒に居るのが楽しいのは本当の事よ。 この三ヵ月だけでも毎日楽しかった。
生きていてこんなに楽しい時間が流れていく事も知らなかったもの。 利久さんは少しネガティブ過ぎです。 私、利久さんが好きですよ?
だから利久さんが自分の話をしてくれて、私は嬉しい…。」

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