【完】セカンドマリッジライフ
騒々しい声がリビングに広がって行ったら、嬉しそうに武蔵が駆け出してくる。 それに合わせて他の猫たちも側に寄って来る。
誰か一人居るか居ないかでこれだけ空気感が違うものか。
洗い立ての彼女の髪から動くたびにシャンプーの匂いがする。 騒々しい彼女なのに一緒に居るだけでゆっくりと柔らかい時間が流れていく。
雪乃がやって来てから、周りを取り囲む全ての物が笑顔で溢れているんだ。 こんな俺でさえ普段ガチガチに固まっている筋肉が緩んでいく。 …なんて一緒に居て居心地の良い女性だろうか。
「どうしたの?利久さん。 お風呂に入らないの?」
「ああ、入るよ。 あの、何だ…。その…これを…」
ガラス工房で買ったネックレスの入った紙袋を差し出すと、雪乃は俺を見上げて首を傾げた。
「えー?何?何?私にー?
うひゃ…!」
中からは今日見た青空のようなスカイブルーの花の形をしたネックレス。 照明の光を浴びて、キラキラと輝きだす。
目を大きく見開いて驚いたかと思えば、直ぐに満面の笑顔になって自分の首元にネックレスを通す。