【完】セカンドマリッジライフ
利久さんが顔を引きつらせて笑った。 私も私で何だか変な汗をかいてきた。
「利久先生と雪乃ちゃんの赤ちゃんが出来たら、ゆなにも見せてね?」
そう言い残し、病院を後にした。 午前の診療はこれで終わりだ。
二人きりになった病院で、ちょっぴり気まずい空気が流れる。
子供っていうのは純粋無垢で何を言い出すか分からない生き物だ。 利久さんは診療台を片付けながら私へと背を向けていた。
「あはは~…ゆなちゃんってば可愛いですねぇ」
「あ、あはは。まあな。子供っつーのは突然びっくりする事を言うからな…」
背中を向けたまま利久さんが口を開く。 何かこっちが恥ずかしくなっちゃう。 午前中のカルテをまとめながら私も利久さんへと背中を向けた。
「……利久さんって子供好きでしょう?」
「…まあ、大人よりかは好きだな。 小さな子供なんつーのは犬猫と一緒だ」
「犬猫と一緒かは知らないけれど…利久さんってば子供には特別優しいんですもん。
まあゆなちゃん可愛くていい子だから分かるけどね~。
私も子供は好きです~」
「いや、言わなくても見てれば分かるよ。…それに君はきっと良いお母さんになりそうだしな…」