【完】セカンドマリッジライフ
’お母さん’という言葉にドキリとしてしまう。
ちらりと利久さんの方を見ると、丁度こちらを向いた彼と目が合ってしまう。
反射的に逸らしてしまった。 どうして胸がこんなにドキドキするの? これじゃあ意識している。
「り、利久さんこそ良いお父さんになりそう。 利久さんは何だかんだ言って自分の子供にすっごく甘々になりそう…」
「ああー…。そうだなあ、こんな俺が子供なんて考えたこともなかった。
うちは両親ともにクリニックを何軒も経営していたから小さな頃から忙しかったんだ。
だから自分の子供が出来たら沢山遊んであげたいし、色々な場所に連れて行ってあげたいな」
「素敵…! 早く子供が欲しいですね…!」
思わずそう言ってしまうと、利久さんが肩をびくりと動かしてこちらを凝視した。 その表情は明らかに戸惑っているように見える。
わ、私ったら一体何を言っているの?! 子供が欲しいなんて……。 これじゃあ私と子作りをして下さいって言っているようなもんじゃないか。
バカバカバカ。顔から火が出る程恥ずかしくなって、絶句する利久さんに話を変えるように言った。