俺様幼馴染は素直になれない!
「…ゴメン。歩くの速かったね」
左手でゴメンポーズをして、後ろにいた私のとこに戻ってきたのだ。
ちゃんと見てくれたんだ。
優しい。
上杉くんは私のとこに戻り、私の隣に来て、歩き始めた。
上杉くんの印象は、顔はイケてるのに、なぜかオタクグループにいるくらい。
そこまで派手じゃなく、地味でもない中間あたりな感じ。
いつも見ると笑っていて、楽しそうにしているイメージがあった。
だけど、今日まで話したことなかったし。
話をしないまま、私たちは屋上へ着いた。
ガラッと扉を開けると、満点な青空が広がっていた。
「うーん!気持ちいいね」
上杉くんは両腕を空に近づきそうなくらい、背伸びをしていた。
「う、うん」
私は瞬きをして、返事をする。
「…じゃあ、本題なんだけど。相波さんって、カバンにつけてるキーホルダー好きなの?」
上杉くんは私の真正面に向き合って、真剣な目で聞いてきた。
「あ、クマさんの?」
自分のカバンを頭の中で思い出すと、ひとつだけつけているクマさんのキーホルダーがあった。
小さい頃からそのキャラクターが大好きで
今でも集めているほどだ。
可愛さもあり、半分気持ち悪さがあって、全体的に可愛いのだ。
「そう。あれ、ずっと気になっていて、相波さんは好きなの?」
上杉くんは聞いてよかったものなのかどうか迷っていたのか戸惑いながら、私に聞いてきた。