俺様幼馴染は素直になれない!
「あ、うん。あのキャラクター好きで集めてる」
私は上杉くんの言葉に答えた。
すると、嬉しそうに上杉くんが言う。
「ヤバい。本当嬉しい。同志がいるとは」
上杉くんは今でも泣きそうな目で私を見て、嬉しそうに言ってきた。
なんで泣きそうな目で…
それほど嬉しかったんだ。
男子であのキャラクター好きなのそうそうにいなそうだし、上杉くん一人で楽しんでいたのかな。
一人で楽しむのは最初の方はいいけど、好きになるにつれて仲間がほしくなるものだ。
「うそ、上杉くんも好きなの?」
私は目を輝かせて、上杉くんに聞く。
あのキャラクター好きなのは、あまりいないので私も本当に嬉しかった。
「そう。好きなの。本当は相波さんに話しかけようと思ったんだけど、中々話しかけられなくて」
上杉くんは照れたように顔を赤くしていた。
青空は澄み切っていて、私たちを歓迎しているようだった。
「話しかけてくれればよかったのに」
私はクスッと笑って、目尻に皺を寄せた。
私が鞄にあのキャラクターしていたとしても、友達から貰ったのかもしれないとかいろいろ考えて、話しかけるのを戸惑っていたのかもしれない。
上杉くんなりの事情があるのだろう。
「いや、なんかね。あの幼馴染くんと付き合ってるんでしょ?」
瑠翔のことかな。
確かに表向きは、付き合っていることになっている。
だけど、ほんとはニセ彼女。
「瑠翔のこと?…うん、付き合ってるよ」
私は両手を後ろに組んで、返事をした。
嘘だけど。
「そうなんだ。ねぇ、相波さんと話したい時話していい?」
上杉くんは遠慮気味に聞いて、飼い主が犬にお手を待ってと言わんばかりに私の返事を待っていた。
「いいよ。もう話してるんだから」
私はそんな姿を見て笑って、上杉くんに返事をする。