俺様幼馴染は素直になれない!
「へぇ。上杉くんが。意外だな」
智子は、どれどれと私のカバンについていたクマを険しい表情で眺めていた。
その表情を見ると、あまり可愛くないとか思っているのだろう。
だけど、智子は優しいから私の好きなキャラクターの話も聞いてくれる。
「うん。それで意気投合して。上杉くん、私のカバンについていたクマを見て話しかけてくれたみたい」
カバンを右側にかけて、お弁当を開けてから
私はウインナーを箸でつかみ、口に運んだ。
「ふーん。なるほどね。上杉くん、変なことしなきゃいいけど」
智子も机に置いてあった弁当を開けてから、お茶を飲んで返事をした。
あまり納得していないようで智子は何かを考えているようだった。
「しないよ。クマ好きの人にはいい人しかいない」
私は智子と目を合わせて、返事をした後、ゴクゴクとお茶を飲んだ。
「まあ、だよね。上杉くんは多分、そんな奴じゃないしね」
智子はうんうんと首を上下に振って、私に言う。
私と智子は弁当を食べながら、上杉くんの話や勉強のことなどいつものように話をしていた。
すると、アナウンスの音が流れた。
「…相波結愛さん。相波結愛さん。桑柳(くわやなぎ)先生がお呼びです。至急職員室まで来てください」
ピンポーンパンポーン
私は弁当をカバンにしまった後、お茶を飲んでいた時に呼び出された。
「なんだろう。私、行ってくるね」
私はペットボトルのお茶の蓋を閉めてから、すぐ椅子から立ち上がり、職員室に向かうため歩き始めた。