俺様幼馴染は素直になれない!
私はさっき見たことは隠して、平然と上杉くんに答える。
「そうなんだ。相波さん、今から帰るの」
上杉くんはいつもの笑みを浮かべて、私に話しかけてきた。
「そうだよ」
私は右手で右肩にカバンを持って、上杉くんの目を見て言った。
「じゃあ、一緒に帰ろうよ」
上杉くんは私に近づき、私の左手を掴んで、笑って、そのまま歩き始めた。
「…上杉くん」
私は上杉くんの名前を呼んだ。
呼びかけに、すぐ後ろを振り向いて私を見ていた。
「うん?なに?」
上杉くんは優しくて、初めて話したときも気さくで居心地良かった。
だけど、なんで瑠翔に宣戦布告するようなマネ。
どんな人でも隔てなく関わる人だ。
友達が嫌な思いしているんじゃないかって心配してくれてるんだよね。
私の手を握りしめて、一歩ずつ歩くと、玄関箱についた。
私たちは手を離して、外履を履いた。
手を握っている時は、色々考えていて、頭になかったけど、男の人と手を繋ぐなんて初めてだった。
細そうに見えるけどゴツゴツしていて、やっぱり男の人だって思い知らせる。
今になって、恥ずかしくなってきた。
うわー、私は靴を履いたら、一人でジタバタしていた。